店舗ビジネスに特化した集客ツール「Googleマイビジネス」に登録すると、Google検索エンジンのキーワード検索結果やGoogleマップに自社店舗情報を表示させることができます。しかし漠然と自社店舗情報をGoogleマイビジネスに登録し、キーワード検索結果やGoogleマップに表示するだけでは、それでどれだけの集客ができたのかは分かりません。集客策改善の根拠となるデータも得られません。それを可能にするのがGoogleマイビジネスのインサイト機能です。
Googleマイビジネスのインサイト機能とは
Googleマイビジネスのインサイト機能とは、Googleサービス(Google検索とGoogleマップ)による自社店舗の集客データ分析とそれに基づく集客改善をするための機能です。
インサイト機能を使用すると、次のデータ分析が可能です。
- 自社店舗の検索キーワード
- 自社店舗の検索方法と検索回数
- 自社店舗の検索に利用したGoogleサービス
- 検索結果に対するユーザの反応
- ルートのリクエスト
- 通話回数
- 写真の枚数と閲覧回数
インサイト機能でできること
インサイト機能のデータ分析では、次の状況が分かります。
(1)自社店舗の検索キーワード
ユーザが自社店舗を検索するために使用した検索キーワードを、過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。
(2)自社店舗の検索方法と検索回数
Googleサービスによりユーザが自社店舗を検索した回数と検索方法を、過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。
検索方法として把握できるデータは次の4項目です。
- 直接検索回数……株式会社○○、東京都新宿区などユーザが企業名や住所で直接検索した回数
- 間接検索回数……「渋谷区 ステーキハウス」、「世田谷区 ハウスクリーニングサービス」など業態やサービスカテゴリでユーザが検索し、自社店舗情報が表示された回数
- ブランド検索回数……例えば「港区○○」と、ユーザが自社ブランド名で検索し、自社店舗情報が表示された回数
- 合計検索回数……上記3つの検索合計回数
(3)自社店舗の検索に利用したGoogleサービス
ユーザが自社店舗を検索した際の表示回数を過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。表示回数は、
- Google検索経由の表示回数
- Googleマップ経由の表示回数
- 上記2つの合計回数
の3項目で把握できます。
(4)検索結果に対するユーザの反応
ユーザが自社店舗の情報を閲覧した後のアクションを過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。
アクションは次のデータで把握できます。
- ウェブサイトへのアクセス回数……ユーザがGoogleマイビジネスから自社店舗のサイトをクリックした回数
- ルートの検索回数……ユーザが自社店舗へ行くためのルートをGoogleマップのナビで探した回数
- 電話を架けた回数……Googleマイビジネスから自社店舗へ電話を架けた回数
(5)ルートのリクエスト
ユーザが自社店舗へ行くためのルート検索をした地域とその検索回数を過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。
(6)通話回数
ユーザがGoogleマイビジネスの自社店舗プロフィールに表示された通話ボタンのクリックで電話を架けてきた回数・曜日・時間帯を過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで把握できます。
(7)写真の枚数と閲覧回数
Googleマイビジネスにアップロードした写真枚数と閲覧回数をオーナー投稿(自社)とユーザ投稿別に、過去1週間・1カ月・3カ月のレンジで同業他社との比較で把握できます。
インサイト機能の活用法
インサイト機能のデータ分析結果を活用すれば、自社店舗の認知度向上、見込み客との接触回数増加、競合他社との比較などによる集客力強化が可能になります。
(1)自社店舗の検索キーワード
競合他社のGoogle検索結果上位表示のキーワードが、自社が使用を想定しているキーワードと合致しているかをまず確認します。この時、自社が想定していなかったキーワードが上位表示されていた場合、自社のターゲットにも応用できるキーワードであるか否かを検討し、応用できるキーワードなら、それを自社店舗情報の説明文の語句の1つとして盛り込みます。
それにより自社店舗情報の検索結果表示度が高まり、見込み客の目に触れる可能性が高まります。
(2)自社店舗の検索方法と検索回数
企業名や住所の直接検索回数が多い時は、自社店舗の認知度が高い、リピーターが多いなどの推測ができます。この場合はさらなる集客を図るために店舗情報の充実が重要です。
一方、直接検索回数が少ない時は、自社店舗の販促策全体を見直し、リスティング広告、SNS投稿などを利用して自社店舗の認知度を高める必要があります。
間接検索回数が多い時は、ニーズはあるがゆきたい店が決まっていない顕在見込み客が多いと推測できます。この場合は店舗情報説明文、写真などで自社店舗の強みや魅力のアピールが重要です。
ブランド検索回数はチェーン店を同一エリアに複数出店している場合に表示されます。検索回数を増加させるためには、ブランドの認知度を高める対策が重要です。
(3)自社店舗の検索に利用したGoogleサービス
Google検索経由のユーザはGoogleマップ検索経由のユーザよりも来店可能性が低いのが通例です。したがってGoogle検索経由の表示回数がGoogleマップ検索経由の表示回数より多い場合は、店内の様子が分かるスナップ写真や商品写真を多用するなどで自社店舗情報を充実し、ユーザの来店意欲を高める対策が必要です。
(4)検索結果に対するユーザの反応
アクション回数が少ない場合は、自社店舗情報に対するユーザの評価が低かったと推測できます。直ちに自社店舗情報の改善を図りましょう。
同時に日付別のデータも確認し、
どのアクション回数がどんな理由で増えているのか
自社店舗情報の店内写真追加・更新した日付、SNS投稿をした日付との相関性はあるのか
なども分析しましょう。
またユーザアクションを起こすためにはクチコミも重要です。自社店舗の接客品質を高めるなどでユーザの好意的なクチコミを増やすと共に、ネガティブなクチコミに対しても「これは業務改善のヒント」と前向きに捉え、真摯に対応する姿勢が重要です。
(5)ルートのリクエスト
Googleマップで自社店舗までのルートを検索しているユーザは、来店意欲が高い顕在見込み客と推測できます。自社店舗の商圏とユーザがルート検索した地域を照合し、商圏外からルート検索しているユーザが一定数以上いれば、その地域にも顕在見込み客がいると想定できます。
この場合は、直ちにその地域で自社店舗情報のチラシをポスティングする、その地域のミニコミ誌に自社店舗情報の広告出稿をするなどの販促活動をすれば、集客数が高まる可能性があるでしょう。
(6)通話回数
全体的に通話数回数が少ない場合は、「検索結果に対するユーザの反応」の対策と同じく、自社店舗情報の改善や自社店舗の接客品質向上を図ると共に、店舗情報の写真、SNS投稿の内容などを見直し、ユーザが通話ボタンをクリックしたくなるような情報発信が重要です。
また通話回数が多い曜日・時間帯に合わせてSNS投稿をすると、集客数が高まる可能性があります。
(7)写真の枚数と閲覧回数
まずGoogleマイビジネスのオーナー投稿とユーザ投稿の写真閲覧回数を確認します。そして閲覧回数が著しく多い・少ない投稿があればその要因を分析し、適切な対処をする必要があります。
次にGoogleマイビジネスにアップロードした写真のうち、どの写真の閲覧回数が多いかを調べます。閲覧回数が多い写真はそれだけユーザ需要が高いと判断できます。
その写真をモデルケースにユーザが閲覧したくなる魅力的な写真のアップロードを増やせば、集客数の増加要因になる可能性があります。
まとめ
Googleマイビジネスのインサイト機能は、ユーザがGoogle検索やGoogleマップでどのようにして自社店舗情報へ辿り着き、どのようなアクションを起こしたのかを把握できるデータが満載と言えます。この豊富なデータを活用し、ユーザニーズを分析し、Googleマイビジネスの登録情報を改善すれば、集客力の向上が可能になるでしょう。同時にニーズ分析・登録情報改善のPDCAを回し、「集客力向上の改善」にも努める姿勢が重要でしょう。