Googleのクロスデバイストラッキングとは? サイト管理者必見

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自社サイトの運営効果を高めるためには、ユーザがどんなデバイスでアクセスし、どんなコンバージョンをしたのかを把握する必要があります。この把握に便利なのが、Googleが2018年7月、Googleアナルティクスに機能追加した「クロスデバイストラッキング」と言われています。

クロスデバイストラッキングとは

「クロスデバイストラッキング」とは、ユーザがパソコン、スマートフォン、タブレットなど複数のデバイスで自社サイトへアクセスしてきた状況を把握すること。

従来のGoogleアナリティクスでは、ユーザ固有のクライアントID(ランダムに生成され、ユーザのデバイスのCookieに保存されるID)によりサイトにアクセスしたユーザを特定していました。

このため同一ユーザであっても、ユーザが異なるデバイスでアクセスした場合はクライアントIDが異なるので、別のユーザと認識していました。これではアクセス状況やコンバージョンを正確に把握できないため、Googleアナルティクスは「User ID」により対応していました。

これはユーザを識別するための「会員ID」のこと。Googleアナルティクスへアクセスデータを送信する際にUser IDも一緒に送信することで「同一User IDは同一ユーザ」と識別できるからです。

ところがUser IDを利用するためには、

  • WebサイトにUser IDログイン機能がある
  • User IDをユーザ別に発行する必要があるため、通販サイトなど特定のサイトでしか利用できない

などの制約がありました。

この制約を取り払ったのがクロスデバイストラッキングです。この機能を利用すると、WebサイトがUser ID機能を搭載していなくても、複数のデバイスでアクセスしてきたユーザの特定が可能になります。

クロスデバイストラッキングの機能

クロスデバイストラッキングには、次の4つのレポート機能が搭載されています。

(1)デバイス重複レポート

ユーザがサイトにアクセスしてきたデバイスの種類とアクセスパターンを確認できます。加えて複数のデバイスを重複使用してアクセスしてくるユーザを認識し、単数のデバイスでアクセスしてくるユーザとの比較も可能です。

自社サイトのユーザ数とセッション数の把握に便利です。

(2)デバイス経路レポート

複数のデバイスを使用してアクセスしてきたユーザが、アクセスしてからサイト内を回遊し、コンバージョンするまでの経路をデバイス別に確認できます。またその経路もOS、キャンペーン、チャネル、コンテンツなどと紐づけた確認も可能です。

自社サイトのコンバージョン獲得までのユーザ傾向の把握に便利です。

(3)チャネルレポート

デバイスごとにユーザの獲得・コンバージョンへの貢献度を確認できます。

(4)集客デバイスレポート

どのデバイスからユーザを獲得し、どのデバイスでコンバージョンを獲得したかの確認ができます。集客デバイスごとの新規ユーザ確認、自社サイトでコンバージョンしたユーザが最初に使ったデバイス確認などもでき、集客とデバイスとコンバージョンの関係性把握が可能になります。

クロスデバイストラッキングの利用法

クロスデバイストラッキングを利用するには、次の手順で利用設定をします。

  • Googleアナルティクスの管理画面にログイン
  • 管理画面左下の歯車アイコンをクリックして設定画面を開く
  • Googleシグナルのデータ収集設定画面を開く
  • プロパティ設定―➡トラッキング情報―➡データ収集の順にクリック
  • データ収集を有効にする
  • 設定完了

クロスデバイストラッキング登場前のコンバージョン計測法

クロスデバイストラッキングが登場するまで、コンバージョン計測は主に「クロスデバイス計測」ツールにより行われていました。

クロスデバイス計測は、元々デジタルマーケティングの効果測定を目的に開発された計測ツールです。

インターネットが普及し、デバイスが進化したことにより、特にBtoCビジネスを展開している企業においてマーケティング効果を測定する上で問題になってきたのが、ユーザの複数デバイスの使い分けでした。

ユーザは複数のデバイスを使い分けることで、パソコン、スマートフォンなど単一のデバイスで一気通貫の購買行動をするのではなく、異なる複数のデバイスをまたいだ購買行動をするようになったからです。

例えば通勤時間、休憩時間などの隙間時間に商品情報を収集し、夜帰宅してから収集した情報の比較・検討をし、自宅のパソコンから目当ての商品をオンライン購入する。ユーザの間でそんな購買行動が定着してきました。

このためパソコン、スマートフォンといったデバイスごとの効果測定では用をなさなくなりました。

またデバイスごとの効果測定では、例えばスマートフォンで広告を見たユーザがそれに興味を持ち、パソコンやタブレットで資料請求、○○参加などのコンバージョンをしているにも拘わらず別々のセッション数として認識されるので、広告効果がないと判定される結果に繋がっていました。

こうした効果測定の不正確さを解決するため、「複数のデバイス間をまたいで効果を測定する」ツールが必要になり、クロスデバイス計測ツールが開発されました。

クロスデバイス計測で可能になったこと

ユーザがWebサイトへアクセスしてから離脱するまでのセッション数、コンバージョンするまでの時間・回遊経路、ユーザのアクション分析などは従来から可能でした。しかしそれはパソコン、スマートフォンなど単一デバイスでのアクセスに限られていました。

それがクロスデバイス計測ツールの開発により、ユーザが複数のデバイスを使ってWebサイトへアクセスしてもすべて同一ユーザのアクセスとしての分析が可能になり、かつデバイスごとの分析も可能になりました。

クロスデバイス計測ツールの種類

クロスデバイスの計測ができる主なツールとして、次の4つが挙げられます。

(1)Googleアナルティクス

Googleアナルティクスはクロスデバイス計測機能が充実していますが、この機能を利用するためにはGoogleアカウントの取得が必要で、計測できるユーザもGoogleのUser ID取得者に限られていました。

(2)Google広告

Google広告でもクロスデバイス計測が可能です。広告出稿主はそのための設定をしなくても、Google広告側が自動的にコンバージョンを計測し、その結果を広告出稿主に提供してくれる仕組みになっています。

(3)YDN

Yahooが提供しているYDNでもクロスデバイス計測が可能です。また、例えばパソコンでYDNの広告を見たユーザに対し、そのユーザが持っているスマートフォンのブラウザへ同じ広告を表示させるリターゲティング広告も可能になっています。

(4) Facebook

Facebookでもクロスデバイス計測が可能です。FacebookはGoogle広告やYDNと異なり独自のプラットフォームを持っているので、広告に対するクロスデバイス計測のセグメントを細かく設定することが可能になっています。

こうしたクロスデバイス計測ツールの開発により、Webサイトではユーザのコンバージョン計測やアクション分析が可能になりました。そしてクロスデバイストラッキングの登場により、デバイスの別を超えた計測や分析が可能になり、その精度も著しく向上したと言えます。

まとめ

クロスデバイストラッキングの利用は、BtoCサイトの中でも資産運用型保険、株式、社債など購買決定の検討期間が長い投資商品を扱っているサイト、住宅、高級乗車、宝飾品など単価が高額な商品を扱っているサイト、専門学校、スポーツクラブなど利用期間が長い施設型ビジネスサイトが特に利用効果が高いと言われています。

これらのサイトはユーザが隙間時間にスマートフォンで商品情報を収集し、帰宅してから情報を比較・検討してパソコンで購入手続をする種類のサイトではないからです。

これからは何らかの形でコンバージョン獲得が必要なサイトでは、クロスデバイストラッキングの必要性がますます高まるものと見られています。