ECサイトを立ち上げる前に知っておきたい「決済法」について

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 ECサイトは実態店舗のような複雑な手続きや物理的な負担を伴わない手軽な店舗といえるかもしれません。在庫の調整なども負担が軽いので、商売を始めるという点では始めやすいやり方です。特にコロナ禍以降、ECサイトの運営は実態店舗以上に注目が集まっています。

 そんなECサイトですが、開設にあたって最も重要といえるのが商品の決済方法なのではないでしょうか。

 ここではECサイト運営上最も重要といえる決済方法について紹介します。

ECサイト決済システム接続方法の類型

 ECサイトを運営するうえで決済方法は欠くことのできないものです。顧客ニーズを考えても、できるだけ多くの決済方法を把握し、それぞれのメリット、デメリットを把握しておく必要があるでしょう。

 一口に決済法といっても数知れないほどのやり方があります。多種多様な決済法を理解する上で、決済システムの類型を紹介しておきたいと思います。

EC決算の状況とクレジットカード

◆インターネットで購入する際の決済方法(複数回答)

経済産業省の最新の調査結果より引用:平成 30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

 ECサイトでの決済方法は圧倒的にクレジットカード決済が主流となっています。クレジットカードでの決済は全体の7割近くを占めています。ネット上から気に入った商品を注文し、クレジットカード情報を入力すれば商品が届くシステムといえますので、手軽で迅速に買い物ができるため普及が進んでいるといえます。

 同じように、電子マネーによる支払いや、ネットバンキングなども支払方法の利便性から今後の伸びが予想されています。

 また、現金書留や為替という昔ながらにやり方もありますし、代金引換やATMで振り込みなどEC、ユーザー双方に安心できる決済方法も根強く使われています。

 それぞれの決済方法について細かく会説明していきますよう。

クレジット決済の類型

  クレジットカード決済は使用頻度の高い決済法です。しかし、セキュリティへの不安もついて回ります。

 このセキュリティへの不安を回避するためのクレジットカード決済のやり方には4つの類型があります。それぞれクレジットカード番号をどのように扱うかという点での違いです。クレジットカード決済はECを運営するうえで避けて考えることのできないシステムです。ご紹介しておきます。

 

①リンク型

 リンク型とは決済の代行サービス会社の決済画面に移動して全ての決済処理を行う方法のことです。

 お客様のクレジットカード番号を取得しなくて済むので、個人情報の漏洩などセキュリティー面が不安な方でも安心して決済することができます。コストも低く抑えることができるので安全安心な決済法になります。 

②トークン型

 トークン型とはユーザーのクレジットカード情報を別の文字列に置き換えて(トークン)決算処理することでセキュリティーを配慮するやり方です。

 リンク型決済と違って自社サイト内で決済が完結するプログラムを組めるので決済処理中に別のサイトへの移動することがないのでサイト離脱のリスクヘッジになります。 

 半面コストが少し高くなるのが気になるところですが、セキュリティーを考えると最適と言っていいです。

③データ送信型

 自社でSSL対応のサーバーを構築してユーザーからのクレジットカード情報決済代行サービス社に転送して決済処理を行う方法です。

 データ送信型はAPI型とも言い、自社サイト内に決済機能を組み込み、決済処理を完結させることができます。このため、画面遷移数を少なくすることができます。

 注文件数が多い大規模な会社向けのサービスです。

④メールリンク型

 メールリンク型とはユーザーにメールやショーメール、QRコード、SNSなどを通じて請求内容を決済用URLとして送り、URLからユーザーが決済画面に誘導されて決済するというやり方です。

 決済処理がメールだけで完結できるためとても簡単です。また、商品の値段を購入時に決られない場合でも対応が可能なので、予約販売や見積もりが必要な場合でも対応可能です。

 自社での決済システムの構築が難しい場合やWeb注文など幅い決算法に対応が可能であることもこのシステムの特徴です。

 

クレジットカード決済以外の方法別種類

 クレジットカード以外の電子機器を使った決済方法は今後大きな伸びをみせるのではないかと思われています。

 クレジットカードには利便性の半面、セキュリティーの問題がついてきます。特に電子決算などではクレジットカードの不安な部分を補填するように今後の使用頻度の向上が見込まれています。

 それぞれのメリット・デメリットを熟知して上手に使い分けができるように決済方法を設定していきましょう。

自動引き落とし

 自動引き落としは定期購入など定期的に代金を引き落とす場合には最適です。ユーザーも最初の登録だけで月々の支払いができるようになるので利便性を感じると思われます。

 ECサイトを運営する側にとっても代金を集金する手間がなくなるので便利です。意外に自動引き落としに対応していない決済サービスが多いのが残念な点です。

ネットバンク

 ネットバンキングは指定の口座にログインさえすればクレジットカード番号などを入力したり、必要以上の個人情報を入力する必要なく支払いが完了します。

しかし、ネットバンクのアカウントを所有している人が少ないので普及が進むことを待たねばならないことがデメリットです。

 

携帯キャリア決算

 昨今急速に普及しているのが携帯キャリアを使った電子マネー・ワォレットとマネーです。携帯番号を持っていれば決済可能なため使いやすいのが特徴です。

 4桁の暗証番号だけで決済が可能です。クレジットカードを持っていない10代のユーザーに人気です。

 しかし、携帯キャリア決済は手数料が高のが難点です。さらに、請求限度が高く設定されていませんので、高額商品のECはには不向きです。

 

ネットマネー・ウォレット決算

 ECサイトの決済にも使用可能です。事前にチャージしていればクレジットカードを持たない人でも利用可能です。

 電子マネーの中でも「プリペイド方式」と「ポストペイ方式」に分かれていますので、違いに注意してください。

 事前チャージには限度額などが設定されているのでセキュリティーにも配慮がされています。しかし不正利用には十分な配慮が必要ではないでしょうか。

 

インタネット上で支払いを完結させない方法

 インタネット上での注文と商品購入の決済を分けて考えたいという人々は存在します。利便性の高いクレジットカードや電子マネーでの決済とは違う支払い法を考えたいというニーズは今でもはっきりと存在するようです。

 セキュリティーの問題や利便性優先ではなく家計との相談をしながら、またはクレジットカードや電子マネーを使っていない人達、そういうユーザーは歴然と存在します。それらの方々にとっても決済の利便性は存在します。それぞれ整理してみたいと思います。

コンビニ決済

 商品とともに払込票を事業者側がユーザーに送り付けます。商品より先になる場合、商品と同時、商品確認後等、発送側の都合は様々です。

 ユーザーは届いた商品に納得したうえで近所のコンビニで代金を支払います。コンビニの場合24時間好きなタイミングで支払えるのでとても便利です。

払込票

 コンビニ決済と同じく払込票を郵便局やその他の金融機関を使って決済するやり方です。払い込みの時間帯に制限は生まれますが、商品を確認してからという点はユーザーにとってはメリットです。

ATM

 払込票を郵送するなどの手数をかけず、ATMでの払い込みで済まそうというやり方です。商品発送の時期にもよりますが、ユーザーが自主的に払い込める点はユーザーの安心材料の第一です。

代金引き換え

 料金引き換えはユーザーが商品を受け取りタイミングで配送業者に支払うシステムなので、ユーザー側の支払いの安心感を保持するやり方の一つです。

 商品引き取り時に支払うので、手数も少なく、クーリングオフや商品の受け取り拒否などの自由も残されていますから、ユーザーのメリットは保持されます。

現金書留・為替小切手

 現金書留による支払いは上記のユーザーの商品確定のメリットを間違いなく担保できるものです。

しかし、郵便料金をはじめ煩雑な手間はあります。

EC決済の選び方とメリットデメリット

複数の決済方法を導入するメリット

 決済方法は上記の通り多種多様です。それぞれメリットデメリットも多様なことはすでに述べました。それぞれの決済方法にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。

 その意味では決済方法をできるだけ多く設定しておけば、それぞれのユーザーの選びやすい決済が可能になります。ユーザーの利用状況を考慮してできるだけ多様な決済方法を用意しておいた方が、ユーザーのニーズにこたえることになります。

 特にECモール上ではオリジナリティーを売りにしている商品以外は容易に同じものを他のECで見つけることができるでしょう。

 商品検索から購入までできるだけユーザーにストレスを与えないような決済方法を導入するという意味でも、多様な決済方法を用意するべきかと思われます。

電子決済法以外のメリット

 代金引き換え、コンビニ決済などの電子決済以外の決済法は今でも一定割合確実に行われています。これは商品を受け取って確実に自分の欲しいものであったか確認してから、お金を支払いたいというユーザーの願望がさせているといえるでしょう。

 ECは手軽に買い物ができるシステムですが、実際の手に取って色合いや大きさなどを確かめて買い物ができるわけではありません。インタネットを通じての画像では十分に商品情報が伝わらないこともあります。

 ECでの買い物については、届いたものが自分の本当に欲しいものだったか確認してから、代金を支払いたいというユーザーも確実に存在します。電子決済以外の決済方法も取り入れておく必要があると思われます。

まとめ

 決済法の設定はEC展開のうえで忘れてはならない重要な問題です。支払方法が決まらないと品物が売れても売り上げにつながりません。

 ECは自宅で、またはスマホから手軽に買い物ができるやり方です。取り扱う商品いよってユーザーの層も違いますし、それによって決済法も様々に検討されるでしょう。

 ECの特徴やユーザーの動向を検討して自分のお店にあった決済法をできるだけ多く導入することが必要だと思われます。