専門用語を使わずわかりやすく伝えるには

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先日見たCMの歌詞に、思わず笑ってしまいました。

「横文字だらけの打ち合わせ知ったかぶりで恥をかく」

CMでは会議中にわからない横文字言葉をこっそり机の下で検索していて見つかってしまうのですが、そうやって恥をかくところまではいかなくても、知ったかぶりがいつ露見するかとそわそわしながら会議に参加したことがある方は多いのではないでしょうか。(もちろん私も漏れなくそのひとりです)

ちなみにこのCMは「保険はわからないことが多いだろうから、ここに相談に来てくださいね」というオチがついています。

そしてまさにこの状況が、今回お話したいことの出発点です。

なぜ専門用語を使わない方がいいのか、それは、理解できない話をする人を相談相手に選ぶことはないからです。

どの業種業態の仕事であっても、相談相手に選んでもらうこと、つまり顧客の本音を知り、よき理解者になることが大切ということは、こんなところで言われるまでもなくご存知のことだと思います。(もしかしたら、仕事の枠を越えてプライベートでも重要なことかもしれません)

それなのになぜ専門用語を使ってしまうのかどうすれば使わずに伝えることができるのかを紐解いていきましょう。

◎専門用語「でしか」説明できないだけ

◆本当に理解していますか

人前で、自分以外の誰かが作った資料のプレゼンテーションをしたことはありますか?

ないぞという方は、ネットに転がっている誰かのコラムとか、例えばそれこそこの記事の内容を誰かに向かって説明してみてください。
大切なのは、脳内シミュレーションで終わらせるのではなく実際に口に出して話すことです。

試してみると、自分が作った資料を説明するときよりも難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。

これは、理解度の違いです。

「知っていることと理解していることは違う」と言ったりしますが、まさにそうで、単にインプットしただけの他人が作った資料よりも、考えをめぐらせながらアウトプットした自分作の資料では、理解度が大きく違います。
そして、理解できていない資料を説明しろと言われると「書いてあることをそのまま読み上げるだけ」になってしまいます。

一方、仕事をする中で使うようになった専門用語というのは大概「周りの誰かが使っている影響を受けて自分も使うようになった言葉」で、よくよく自問してみると、なんとなくのニュアンスでしか知らなかったりします。

なのでつい、噛み砕いた表現に変えることができずに、用語をそのまま使って済ませてしまう、というわけです。

相手の反応をよく見ましょう

ここまでお話してきた内容をひっくり返すようなことを言いますが、専門用語を全く使わない方が良いとは思っていません。
説明すると冗長になる概念を端的に表現している言葉だったりすることも多いので、使いこなすことができるのであればとても便利です。

ポイントはやはり、自分も相手も充分意味を理解しているか、という点です。

実はよくわかっていないことを話すとき、わかっていないことがバレてしまわないかドキドキしませんか?

ドキドキして冷静さを失っていると、相手がどういうリアクションをしているのかを見る余裕がなくなります。
相手も、このくらいの用語もわからないのかと思われたくなくて、本当はよくわからないということを隠そうとしてしまいがちなので、ますます「伝わっているのか」に気がまわらないまま話が進んでしまいます。
そしていざ納品という段になって「こんなものができあがるなんで聞いていない」となるわけです。

◎伝わりやすく説明する

◆恥ずかしがらず億劫がらずに調べましょう

さて、本当は意味を理解していない時や、相手が理解しているかどうかに気づく余裕がない時に、ついつい専門用語を並べてしまう、という話をしてきました。
原因を整理すると、対策は一目瞭然ですね。

恥ずかしがらず、億劫がらずに、意味を調べて理解を深めましょう。

ネットを駆使して検索したり、社内の知見者に教えてもらったり、方法はいろいろあります。
ちょっと調べてみるだけで思ったより思考がクリアになって、簡単な言葉で説明できるようになりますよ。

◆例え話をしてみましょう

専門用語の意味を自分では充分理解して、簡単な言葉で説明できるようになったのに、相手にはいまいち伝わらない。
こんな悩みを持っていらっしゃるとしたら、相手が得意な分野での例え話をするのが効果的かもしれません。

例えば、飲食店のオーナーさんが自分のお店のホームページを新しく作りたいと依頼してきたとします。
お店のこたわりや頻繁に入れ替わる季節のメニューをホームページに掲載して集客のための情報発信をしたいと思っていて、WEBに関する知識はほぼゼロ、そんなクライアントに、どう説明しながら制作を進めたら良いでしょうか。

来訪者のUX向上のためにまずは情報デザインからはじめましょう。

UIはアナリティクスの結果をもとにフレキシブルに修正が可能です。うんぬんかんぬん。

はじめて使う厨房で、道具や材料がどこにあるかすぐわかったり、導線が整理されていて作業の無駄がないと、とても快適でまたこの厨房を使いたいってなりますよね。ホームページも、どんな情報がどこに掲載されているかがすぐわかったり、見たいページにすぐたどり着けたりすることは、何度もこのページを見にきたいと思ってもらう上ですごく重要なので、まずはその情報の整理からはじめてみましょう。

映えを気にする方が多い昨今、料理の盛り付け方を色々なパターンで出してみて、お客さんの反応を見ながら調整していらっしゃると思いますが、ホームページも、どんな属性の人が見に来て、どういう部分がよく目についてクリックされやすくて、といったお客さんの反応を確認する方法があるので、その結果を確認しながら、少しずつ最適な形に修正していけたらと考えてます。

WEBの話を、WEBの言葉だけで説明する必要はないと思いませんか。

用語の意味を良く理解し、相手の得意な分野のことを理解して、その分野とどう似ていてどう違うのかを説明できれば、格段に「伝わる話」ができるようになるはずです。

◎まとめ

専門用語の意味をよく理解して、相手にわかる言葉にして伝えましょう、というお話をしてきました。
なんだ、当たり前のことをつらつらともっともらしく語りやがって、と思われることでしょう。
ただ、もしかしたら一番大切で大変なのは、そもそもの大前提として「自分は正しく用語を理解していないかもしれない」「自分の伝え方では正しく相手に伝わっていないのかもしれない」と己の未熟さを受け入れることなのかもしれません。(未熟な自分が恐れ多いことを、とドキドキしながら書いています)

「不勉強でわからないので教えてください」「私の稚拙な表現できちんと伝わっていますか」と虚勢をはらずに言える方は、とても誠実で信頼できる方だなと感じます。
信頼できて、話もわかりやすくて、つい本音を話してしまう担当者が自分の前に現れたとしたら、ぜひこの人に仕事を頼みたいと思いますよね。

わからないことをわからないと素直に言える少しの勇気が、あなたの未来を変えるのかもしれません。