見込み客に自社サイトへアクセスしてもらい、アクションを起こしてもらうためには、Google検索の上位表示を目指すSEO対策が重要です。この対策の1つとして、近年注目されているのが「サイテーション」です。ここではサイテーションが注目されている理由、サイテーションの要件、サイテーション獲得数法などを解説します。
サイテーションとは
サイテーションとは、自社の企業名、ブランド名、商品名などが第三者のブログやSNS投稿でどれだけ言及されているかのSEO指標です。早い話がネット上でどれだけ話題になっているかの指標です。一般用語としては「引用、言及」を意味します。
例えば「○○社の○○は安全でとても使いやすい」、「○○店の京都ラーメンは絶品」などネット上での話題がサイテーションの対象になります。
サイテーションが注目されている理由
サイテーションが注目されている理由の1つとして、被リンクとの関連があります。
SEO対策の一環としての被リンクは、第三者サイトから自社サイトにリンクを貼られる必要があります。ブログやWebサイトで第三者サイトの企業名、ブランド名、商品名などに言及する際、その根拠としてリンクを貼るのが通例です。Google検索エンジンがそのリンク数を検索結果上位表示基準の1つにしているからです。
ところがSNS投稿の場合、リンクを貼っての言及は稀です。しかし多くの第三者が投稿で言及していると言うことは、「リンクを貼っているのと同じ」との認識が高まりました。またSNSが普及したこともあり、「被リンクなし=言及なし」と検索エンジンが判断するのは非現実的との論議も高まりました。
こうした状況を背景に、Google検索エンジンのアルゴニズムがSNSで多く言及されている企業名、ブランド名、商品名などは、ブログやWebサイトの被リンクと同一との評価をするようになったと推測されています。
もう1つの理由として、ローカルSEO(※)の検索順位表示決定3要件の1つの「知名度」との関連があります。
自社店舗の名称、ブランド、商品などがユーザにどれだけ広く認知されているかが知名度の要件です。広く認知されるためにはSNS投稿で言及され、拡散され、ネット上で話題になる必要があります。こうしたことから、特に店舗ビジネスを営んでいる企業の場合は地域との関係性が強いので、ローカルSEO対策としてサイテーション獲得の重要性が高いと言われます。
※ローカルSEOː日本ではMEO(Map Engine Optimizationː地図エンジン最適化)とも呼ばれが、これは日本独自の用語。海外ではローカルSEOの用語が定着している。両者の違いに大差はないが、ローカルSEOの場合は自然検索と地図検索の両方を対象にしているので、MEOの場合はSEO対策の範囲が限定されるとの意見もある。
サイテーションの要件
Google検索エンジンにサイテーションとして認識されるには、
- サイト、企業、店舗、ブランド、商品などの固有名詞
- 企業や店舗の所在地・電話番号
- テキストリンク
の3要件を満たしている必要があります。特に重要なのが固有名詞です。
例えば「マクドナルド」と言う店の固有名詞を、第三者が「マック」の通称でブログやSNS投稿で言及した場合は、サイテーションとして認識されません。
このためサイテーションを獲得するためには、店名をSNS上では通称に変える必要が出てくる場合もあります。
サイテーション獲得数を確認する方法
サイテーション獲得数を確認する方法として、次の3つがあります。
(1)GoogleでWebサイト名を検索する
Googleで自社Webサイト名を検索すると、自社サイトのサイテーション獲得数を確認できます。自社サイト名検索は、検索窓に「site:{サイトURL}」を入力するだけです。
(2)Googleサーチコンソールによる確認
Googleサーチコンソールを利用すれば、自社サイトの検索回数とアクセス回数を確認できます。検索期間を設定すれば、サイテーション獲得がアクセスにどれだけ貢献しているのかの確認もできます。
(3)Yahoo! リアルタイム検索による確認
Yahoo! リアルタイム検索を利用すれば、TwitterとFacebookの2つのSNS投稿の自社店舗、ブランド、商品などの言及数を確認できます。
サイテーション獲得のメリット
サイテーション獲得のメリットとして、次が挙げられます。
(1)検索エンジンからのアクセス数増加
サイテーション獲得数が増加すれば、自社店舗がGoogle検索画面のGoogleマップの店舗一覧の上位に表示される可能性が高まります。上位に表示されれば、ユーザの目に触れるチャンスが増えるので、自社サイトアクセス数増加の可能性も高まります。
(2)ユーザビリティ向上につながる
Google検索エンジンが効率的にWebサイトのコンテンツ情報を収集できる構造化データマークアップを施し、自社サイトのコンテンツを充実すれば、ユーザが知りたい情報を提供でき、ユーザビリティの向上を実現できます。
サイテーションを獲得するには
既述の通り、サイテーションの要件は、固有名詞(サイト・企業・店舗・ブランド・商品名)、企業や店舗の所在地・電話番号、テキストリンクなどとなっています。換言すれば店舗ビジネスがサイテーションの対象とも言えます。このためサイテーションを獲得するには、次の準備が必要です。
(1)Googleマイビジネスへの登録
Googleマイビジネスに自社店舗情報を登録すると、自然検索表示画面やGoogleマップ上に自社店舗名、所在地・電話番号の表示が可能になります。これによりサイテーション獲得の機会が得られます。
(2)NAPの確認
サイテーションにおいて重要なのは、NAPの正確性です。NAPとはName(名称)、Address(所在地)、Phone(電話番号)の略語です。
Googleマイビジネスに自社店舗情報を登録する際は、NAPを正確に記載する必要があります。同時に自社のNAPが第三者のブログやWebサイトで正確に引用されているかを確認する必要があります。
もし不正確に引用されている場合は、当該ブログやサイトの管理者に連絡し、修正してもらう必要があります。
ブログ、サイト、SNS上で話題になっているサイテーションが自社のことであるとGoogle検索エンジンに認識してもらうことが、SEO対策の前提になります。
(3)SNSアカウントの取得
サイテーション獲得はSNS投稿における言及が大きく影響します。このためSNSアカウント取得が必須要件になります。
サイテーションは第三者の投稿での言及ですが、自社がSNS投稿で自社情報を積極的に発信しなれば、第三者の投稿で言及してもらえるチャンスがありません。
(4)情報提供サイト対策
インターネット上には店舗情報や商品情報を紹介する様々な情報提供サイトがあります。そして例えばラーメン店情報提供サイトで自社ラーメン店を紹介される際は、自社ラーメン店の人気メニューが画像でピックアップされ、ラーメンファンにアクセスされる可能性が高まります。さらにこのユーザが来店し、人気メニューを食べて満足した場合はSNSや動画サイトへの投稿で人気メニューのおいしさに言及してくれる可能性が高まります。
サイテーションを獲得するチャンスとして、情報提供サイトに自社店舗・商品を紹介してもらうための対策は重要です。
サイテーション獲得の留意点
サイテーションはブログ、Webサイト、SNS投稿などで自社情報に言及されればそれで良いと言うものではありません。サイテーションにはメリットがあればデメリットもあるからです。このため次の点に留意する必要があります。
(1)自作自演の言及をしない
サイテーションは第三者による言及が条件です。仮に自作自演の言及でサイテーション獲得数を増やすと、それは不自然な増加になります。不自然な増加はGoogle検索エンジンの評価対象外になります。
(2)ネガティブな言及を削除しない
ネット上の言及は自社にとって都合の良いものばかりではありません。自社にとってネガティブな言及をされるケースは珍しくありません。これを一々削除すると八方美人の不自然な言及ばかりになり、言及の信憑性が疑われる結果になります。
まとめ
サイテーションはGoogleがその定義や要件を明らかにしていないので、SEO対策としての効果を疑問視する声もあります。しかしサイテーション獲得は「事実上のSEO対策の1つ」との見方が多いので、サイテーション獲得の重要性に変わりはないと言えます。
ここで大切なことは、高品質でユーザビリティの高い情報提供です。サイテーションはそれにより徐々に獲得できるものだからです。