【1】コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングの新しさ
マーケティングにはTVCMや広告のような「企業が伝えたい情報(コンテンツ)」を「企業から消費者(ユーザー)」に一方的に発信するやり方(アウトバウンドマーケィング)に対して、「消費者が求めている情報」を「消費者が欲しいタイミングで発信」するのが(インバウンドマーケティング)があります。このインバウンドマーケティングに相当するのがコンテンツマーケティングです。
同じマーケィングですが、発信されるコンテンツが企業目線なのか消費者目線なのかで全く違う効果が得られるのわけです。アウトバウンドマーケティングが広く一般に発信するのに対して、コンテンツマーケティングは消費者が求める情報を消費者が欲しがるタイミングで個々に発信するものです。
コンテンツマーケィング普及の背景
マーケティングが売り手主導から買い手主導に代わった背景にはインターネットの普及があります。現在のマーケティングのうち消費者が買い物前にネットリサーチをするのは常識になっています。
この傾向は企業間取引(BtoB取引)でも同じです。
それほど検索行動などで情報取集できていないと現代の商取引は成立しないのです。消費者主導のネットリサーチという傾向は明らかになっています。昨今はコンテンツマーケィングはマーケティングに必須となっているのです。
このように売り込み型のアウトバウンドマーケィングからユーザーニーズを起点とした情報の発信に傾向が移った背景には20世紀型といえるアウトバウンドマーケティングは媒体が限られていたために広告の情報量が少なく、目につくことが効果につながる傾向があったのです。
【2】コンテンツマーケティングの手法
潜在顧客のニーズを掘り起こしファン化する
コンテンツマーケティングは現在の顧客(ユーザー)に対してではなく、今後顧客になりうるであろう顧客をどのように効果的に顧客に取り込んでいくかを考えていきます。
これから顧客になるであろうと思われる人々を「潜在顧客」ととらえます。それらの顧客をターゲットに顧客が知りたいであろうであろう情報をさぐり、効果的に情報を発信していきます。潜在的な顧客たちはそれらの効果的な情報をもとに、企業やお店に興味や関心を抱くようになります。
このように関心や興味を抱くようにすることを「ファン化する」といいます。情報を発信することで潜在的だった顧客をファンに取り込み情報発信を繰り返すことで中長期的な収益を獲得していくのがコンテンツマーケティングの手法なのです。
【3】コンテンツマーケティングの種類と使い方
SNS、AI
コンテンツマーケィングのツールとしてよく使われるのはSNSやAIなどのインターネット上のツールがほとんどです。Webメディアやブログ、ランディングページなどで顧客に情報提供しながら、訪問者の購買活動や閲覧履歴を分析します。
訪問者がどのような購買行動や閲覧履歴をするのか分析したうえで、次のニーズにつながりそうな情報を個別に提供していきます。情報提供としてはバナー広告や検索したときのSEO、ユーザーにIDを付与してメールアドレスを取得できたときなどはメールマガジンなどで情報提供することもできます。メールマガジンはそれぞれの顧客が開封したか否かなども判るので顧客特性の理解にもなります。
シナリオを作り、目標に向けて調整を続ける
様々なツールを使い、顧客の特性を分析し、顧客とコミュニケーションケーションを深めながら、どのようにアプローチしていくかを分析します。最終的には次のアプローチにどのように反映させるかの検討を行います。
これらの過程を繰り返しながら顧客をできるだけ強く引き付ける体制を作っていきます。以上の過程を整理すると次のようになります。
①目標設定
企業や商店の営業活動に目標を設定し、目標に向けて行動することです。目標設定には「KGI」と「KPI」があります。
KGIはコンテンツマーケティングを実践するための具体的な目標です。売上高や利益率、成約件数など具体的な営業目標です。
これに対してKPIは発信する情報数、ソウシャルメディアでのシェア数、サイトへの流入数、流入キーワードなどコンテンツマーケティングの反響を検討するための数値です。
②ペルソナ設定
具体的な目標が決定したら、誰にどのような情報を発信するべきか定めることが必要です。先に説明した潜在顧客の設定の作業です。これをペルソナ設定といいます。誰にどのような情報発信をどのようなタイミングで行うか明確にすることで無駄な製作や配信を防ぐのです。
③コンテンツ設計
ペルソナ設定が済んだら、先にも書いたカスタマージャーニーマップに沿って発信情報の制作を行います。ここでも成約ばかりにとらわれず、ペルソナとの関係を深めていくことを念頭にしたコンテンツ設計が望ましいです。
そのうえで制作スケジュールを作ります。このスケジュールに沿った作成がより精度の高い分析につながります。
④制作・公開
スケジュールに沿ってコンテンツを作り公開、発信していきます。
どんな情報を誰(ペルソナ)にどのよう(Webページ、PDF、動画等)にどのよう(メール、ソーシャル、Webサイト等)に届けるのか綿密な検討が必要なのは言うまでもありません。
⑤分析とPDCA
目標設定で設定した目標の達成度を計測ツールを使って計測し、次のコンテンツ対応の軌道修正を行います。設定した目標を達成することが一番なのです。
【4】メリットとデメリット
以上の過程を繰り返すことで目標を達成するための分析と設定を調整していきます。
このような過程を通して、ペルソナの特性を掴みファン化して中長期的な関係を維持していくのがコンテンツマーケティングの重要な要素です。ペルソナとの関係を維持して効率的なマーケティングが展開できます。また、長期間の収益を模索できるのもメリットの一つです。
さらに、アウトバウンドマーケティングで必要は広告費、大規模な予算や人員が必要であるということがありません。
反面、効果を出すためには一定量のコンテンツの蓄積が必要なため時間と手間がかかります。コンテンツマーケティングの効果が出るのには少なくとも3ヶ月から6ヶ月が必要だといわれます。継続的な効果という意味では1年から2年の期間が必要になってきます。
【5】SE0(Search Engine Optimization) とは何か?
検索エンジンとは
検索エンジンを使わない人はいないと思います。検索エンジンとはWeb上のリンクをたどって様々なWebサイトを巡回し索引付けをします。それぞれのサイトを解析して、検索した語句に関連性が高いと思われるページを「検索リスト」として表示するのです。
この検索リストは検索エンジンあいで様々な指標をもとに算出されており、それぞれのアルゴリズムによって順位付けが行われることになるのです。
検索エンジン最適化とは
このように検索エンジンによって検索された文言は一定の計算順位に基づいて検索順位が付けられるわけです。このとき検索エンジンの検索画面は多くの検索エンジンが10位ごとに表示されます。一回の検索で表示されつ10位までの検索にかかればそれだけサイトにアクセスされるケースが増え、検索上位であればあるほどWebサイトにアクセスされるケースが増えるということは言うまでもありません。
SEOの中身
企業などが⾃らのWebサイトへの訪問者を増やしたい場合、関連する語句が検索された際に少しでもリス トの上位に表⽰されるようにサイトの構成や掲載内容、外部からのリンク状況などをより好ましい状 態に最適化する必要があるのです。そのための⼀連の施策をSEOといいます。
最適化を⾏うためには検索エンジンが各ページをどのように評価しているかを分析したうえで、検索されたときに検索順位が上位になるように設定を施すのがSEOのポイントなのです。
ところが検索サイトのほとんどは順位の計算⼿順(アルゴリズム)を公開していません。さらに、頻繁に評価の仕⽅を変更ので、公式あるいは確実に正しいと確認され、効果の程度が正確に算出できるような具体的な⼿ 法はほとんど存在しないのです。そのため、過去の経験則や検索サイト事業者が公表しているWebサイト運営者向けガ イドラインなどを分析し、有効であろうと推測される⼿法を試していくことになるのです。
【6】SEOのやり方
内部SEO
Webサイトの検索率順位を上げるための手法としては二つの方法があります。
一つがWebサイト内の改善によって最適化を⾏うことです。これを「内部SEO」(on-site SEO/on-page SEO)ある いは内部対策といいます。
内部SEOのやり方は各ページがターゲットとする検索キーワードやフレーズの選定、キーワードに ⾒合った適切なテーマ設定や内容の記述、質や量の充実、サイト内のリンク構造の最適化、⾒出しや 段落、画像の代替テキストといったHTML要素の⽂書構造に沿った適切な使⽤、図表や画像など補助 的なコンテンツの充実などです。
Web内部のコンテンツやテキストを検索にかかりやすい情報を使うことによって検索エンジンにかかりやすくしようというのが内部SEOというわけです。
外部SEO
これに対してWebサイト外の状況により⾃サイトにとって有利になるよう働きかける方法が「外部SEO」(offsite SEO/off-page SEO)です。
主に外部から⾃サイトへのリンク(被リンク/ バックリンク)を獲得するための諸活動を指します。しかし、外部のサイトの内容や構成は⾃由に編集すること はできないので、直接できることは限られます。 サイト運営者に報酬を⽀払ってリンクを記述してもら う⾏為(有料リンク/リンク購⼊)は多くの検索サイトで違反⾏為とされています。
また、各種SNSへの投稿ボタンをページ内に設置したり、SNS上で公式アカウントを運⽤して情報 発信を⾏い、⾃サイトの認知度を⾼めたり来訪を促すといった施策も外部SEOの⼀環として⾏われ る場合があります。
まとめ
コンテンツマーケティングもSEOも受けて目線の情報発信であることは同じです。しかし、コンテンツマーケティングが企業やお店が消費者の消費動向を分析解析することで情報発信を効率的に行うものであるのに対して、SEOは消費者の検索行為に対してヒット率を上げるためにどうやって目につきやすくするのかという行為なのです。
コンテンツを消費者の目に房させようという意味ではインバウンドマーケィングの一種ではありますが、情報発信のやり方という点では全く違う立場で考えるものであるといっていいでしょう。