IT用語には、様々な英語が用いられているため我々日本人には多少戸惑ってしまうところがあります。
今回ご紹介するオンプレミスとクラウドも同様で、IT用語が苦手な方なら日本語に訳して欲しい!とついぼやきなくなります。
そこでオンプレミスとクラウドがよく分からないという方のために、その違いやそれぞれのメリットについてご紹介いたします。
オンプレミスとクラウドの違いについて
大きな企業には、自社やグループ企業内で使用する業務システム、あるいは業務に関する機密情報、従業員や顧客の個人情報などを取り扱っています。
さらにはメールサーバーなどの通信回線など、様々なコンピューターシステムが関係しています。
そうしたシステムを管理する方法には、オンプレミスとクラウドという2通りの管理システムがあるのです。
ここではそうした管理システムについて、その特徴を詳しくご紹介すると共にそれぞれの違いについてもご紹介いたします。
オンプレミスとは?
「オンプレミス」を英語にすると、「on-premises」となります。
それを和訳すると、建物や構内・店内といった意味合いがあります。
そうした英語が由来となって、サーバーなどのITリソースを自社内や自社のデーターセンター内に設置しながら独自的に管理運用する方式のことをいいます。
管理するものとしては、すでにご紹介したような自社やグループ企業内で使用する業務システム、あるいは業務に関する機密情報などがあります。
もちろんその他にも従業員や顧客の個人情報が漏洩してはいけないので、それらを管理するシステムやメールサーバーなどの通信回線なども含まれます。
その上、この後ご紹介するクラウドサービスが登場する2007年くらいまでは、このオンプレミスによる管理運用が当たり前となっていました。
また従来からのこうした自社運営の管理システムには、オンプレミスという名前も付いていませんでした。
ところがクラウドサービスが登場するようになると、それと区別する意味合いからオンプレミスと名付けれられるようになりました。
クラウドとは?
「クラウド」とは、クラウドコンピューティングの略称でインターネット上にあるデータやソフトウェアを利用する形態をいいます。
そしてそれに関連する用語に、クラウドサービスという用語があります。
このクラウドサービスは、インターネットなどのネットワークを経由しながら、お客さんに様々なサービスを提供するサービスをいいます。
その上このクラウドサービスの需要は、年々高まってきています。
そのためオンプレミスという用語以上に、よく耳にするという方も多いのではないでしょうか。
このクラウドサービスで私たちに最も馴染み深いものとしては、GmailやYahooメールなどのウェブメールが挙げられます。
あるいはコンピューターのハードディスクに情報を保管せずに、クラウド上のハードディスクにデータを保管するというユーザーも多いのではないでしょうか。
そうすることで、自宅のパソコンにアクセスしなくても出先からクラウド上のハードディスクにアクセスをして情報を見ることができます。
またこうしたクラウドサービスを提供する企業のことをクラウドベンダーといいます。
このクラウドベンダーは、年々需要が高まっていることから様々な企業が進出してきております。
ちなみに世界的に有名なクラウドベンダーでは、マイクロソフトやアマゾン・グーグル・IBMなどが挙げられます。
ハイブリッドクラウドとは?
近年のIT業界では、クラウドだけでなくハイブリッドクラウドについても注目されるようになってきています。
ちなみにこのハイブリッドクラウドというのは、オンプレミスとクラウドの長所をミックスした良いとこ取りのIT環境のことをいいます。
このハイブリッドについては、ガソリン車とバッテリー車とを組み合わせたハイブリッド車で、すでに馴染み深いという方も多いのではないでしょうか。
このハイブリッドクラウドが選ばれる理由としては、機密性の高い情報はオンプレミスで管理をして、機密性の低い情報はクラウドで管理するというケースが挙げられます。
こうした用途に応じて、リソースを使い分けるというのもよろしいかもしれませんね。
とりわけ近年では、日本の大手企業がサイバーハッカー集団に利用されて、「お金を支払わないと機密情報を漏洩する」といった恐喝事件が発生しています。
オンプレミスとクラウドの各メリット・デメリットについて
オンプレミスとクラウドの違いやその特徴をご紹介しました。
とりわけ従来はクラウドがない時代であったため、オンプレミスによるシステム管理で初期費用を捻出するのが大変でした。
ところがクラウドによるシステム管理が容易になった今日では、わずか数人でIT会社を起業するということも容易になってきたといえるでしょうね。
従って、初期費用を抑える意味でもクラウドを利用するという企業は多いのではないでしょうか。
ここではそんなオンプレミスとクラウドの各メリットやデメリットについてご紹介します。
オンプレミスのメリット・デメリット
オンプレミスのメリットについては、サーバーなどのハードウェアから経理や会計・セキュリティーなど様々なソフトウェアに至るまで、全て自社で調達しないといけません。
もちろんそれらを調達するには相当な予算や時間が必要ですが、自社の都合や事情に合わせて自由自在にカスタマイズすることができます。
といいますのは、自社の経済事情に合わせてその都度グレードアップすることも可能です。
さらには機密情報や顧客の個人情報など、高度なセキュリティーが必要な場合でも自由にカスタマイズが可能です。
ですので昨今のサイバー犯罪などの特例を除いては、余程のことがない限りにおいて外部に情報が洩れるという心配は要りません。
その代わり高度なセキュリティーやシステム管理を導入すればするほど、それに比例して高額なコストが発生するという点はどうしても避けることができません。
それが、オンプレミスの最大のデメリットといえるでしょうね。
また導入するにあたって、システム管理をどんなハードウェア―にするのか、セキュリティー対策をどのようにするのか、こうした様々な打ち合わせに時間をかけながら念入りにかつ慎重に行う必要があります。
そうした点は、クラウドサービスを利用するのとはワケが違います。
その他にも、企業の立地条件によっては天災や災害の影響を受けやすいというケースも考えられます。
あるいはシステム障害に関しては、天災や災害の影響に関係なくいついかなる時でも発生する可能性があります。
そうした天災や災害・システム障害などに関しては、全て自社で対応しないといけないため時には多大なコストや時間・労力が発生することも想定しておく必要があるといえるでしょうね。
クラウドのメリット・デメリット
クラウドを利用する場合には、オンプレミスとは全く正反対のメリットがあるといえるでしょうね。
例えばクラウドとの契約をすれば、導入するのにさほどコストや時間・労力がかかりません。
それこそクラウドと契約をすれば、アカウントの発行や初期設定だけですぐに利用が可能となります。
またオンプレミスのように、ハードウェアとソフトウェアからなるITインフラの調達を一から行う必要は要りません。
クラウドの場合、インターネット経由でこうしたITインフラは全て提供される仕組みになっています。
その他にもECサイトなどを運営している企業であれば、一つのサーバーに急激にアクセスが集中するというケースがあります。
例えそんな場合であっても、サーバーをすぐに増やして対応することができます。
一方オンプレミスはどうかというと、サーバーにアクセスが集中すると当然のことながらサーバーが重くなり動作が鈍くなってしまいます。
その上、サーバーを増やせばよい!とはいってもシステムの再設計が必要になる可能性があります。
しかしながらクラウドにも利用する上でデメリットがあります。
例えば多くのクラウド事業者の場合、課金制を採用しているため使用量に応じてコストがかかり続けます。
その点オンプレミスの場合、導入時には高額なコストがかかるとはいってもその後の使用料金が随時発生するという心配は要りません。
まとめ
オンプレミスとクラウドの違いやメリット・デメリットについてご紹介しました。
ところで近頃では、政府の内閣官房IT総合戦略室でも今回ご紹介したクラウドサービスを利用するとメリットが大きいということをうたっています。
例えばクラウドサービスを利用するメリットには、セキュリティーや効率性・技術革新への対応力・柔軟性・可能性、こうした5項目の向上が図れるとしています。
そうしたことからもクラウドサービスを利用する企業は、今後ますます増えていくのではないでしょうか。