高齢者人口増加を背景に介護保険制度により法整備がされたこともあり、介護施設(有料老人ホーム)は2000年の同制度施行以降急速に増加しました。そして2018年には全国約1万3000カに所に拡大、さらに年間約1000カ所のペースで新規開設が続いています。その結果、介護施設業界の競争が激化。現在は満室の施設と空室が多い施設の二極化が進んでいると言われます。そこで空室に悩む施設の間で注目されているのが「Web集客」です。ここでは集客力を高めるWebサイトの作り方を解説します。
空室が多い介護施設の特徴
空室が多い介護施設は、次の共通的な特徴が見られると言われます。
(1)競合との差別化ができず、ユーザを引き付ける魅力がない
介護施設市場においては、介護施設を全国展開する大手企業が参入しており、地域密着型の中小施設は大手との差別化が極めて重要になっています。ところが大手との差別化ができない施設はユーザ(施設入居希望者)へのアピールポイントがないため、開業から半年経っても入居者は一桁と言うケースが珍しくないと言われます。
(2)ユーザの情報ニーズに応えていない
全国有料老人ホーム協会が2017年3月に発表した『有料老人ホームにおける情報開示の取組促進に向けた方策に関する調査研究事業報告書』によると、ユーザが介護施設を選ぶ選択肢として、
- 必要となる費用
- 日常の健康管理や各種サービス
- 介護・医療支援サービス
- 従業員のサービス品質
- 経営主体の信頼性
などが40%以上を占めています。
空室が多い施設はこれらの情報開示が貧弱と言われ、ユーザの選択肢から除外されている様子が窺えます。
(3)告知活動が不十分
新規開業した施設のユーザ告知活動として新聞折込みチラシ、ポスティング、地域情報紙への広告、電話帳広告などがあります。しかし現在ではこれらのアナログ告知活動は経費がかかる割には告知効果が低いのが実情です。何故なら、これらの告知活動では上記の施設選択肢となる情報提供ができないからです。
空室に悩む施設は、アナログ告知活動しかしていないと言われています。
ユーザはどうやって介護施設を探し、どんな情報を求めているのか
現在のユーザは、介護施設を探す時、
- インターネットで施設を探す
- 施設を知る
- 当該施設のWebサイトにアクセスして施設の中身を調べる
- 施設を見学する
と、「探す」、「知る」、「調べる」、「見学する」の4段階の行動をするのが通常と言われています。
では、そんなユーザは施設のWebサイトにどんな情報提供を求めているのでしょうか。
最大公約数的には、
- 立地……所在地、最寄り駅、アクセス、施設の周辺環境など
- 月額料金と入居費
- 個室の間取り
- 設備の種類・内容
- 看護師・社会福祉士の人数
- 施設の外観・内観、個室、ラウンジ、食堂などの写真
- 施設内のサークル活動やリクリエーション
- 一日の生活スケジュール
- 年間行事やイベント
などの情報提供を求めていると言われています。
これらの情報ニーズに応えられないWebサイトはユーザにとって何の意味なく、施設の告知媒体としての用を為していないと言えます。
集客力の高いWebサイトの作り方
集客力の高いWebサイトを作るためには、上記の情報ニーズを満たせばOKと言うものではありませ。ユーザが「なるほど。この施設なら」と魅力を感じるコンテンツを揃える必要があります。
そのためには、コンテンツ制作前に、
- 施設を開設した目的
- ユーザにどんなホスピタリティを提供したいのか
- 地域社会でどんな役割を担う施設でありたいのか
- 施設運営を通じてどんな社会貢献をしたいのか
などの経営理念を明確化し、それに基づき次のコンテンツを制作します。
(1)施設長のメッセージとプロフィールに関するコンテンツ
施設の経営理念と経営方針を施設長自ら語り、それを文章化します。
コンテンツの内容は、
- 「こんな施設を作りたい」と考えるに至った施設長の経験や施設づくりの目的
- 施設長のプロフィール
- スタッフ(看護師、社会福祉士、栄養管理士など)の育成方針
など。このコンテンツは、ユーザの施設選びの重要なポイントになります。
(2)施設の特徴に関するコンテンツ
ユーザに「この施設なら入居したい」と思ってもらえる施設の特徴をアピールします。
コンテンツの内容は、
- 施設が立地している地域の歴史、文化、季節のイベント、特色などを背景にした施設の魅力
- 施設周辺の風景や憩いのスポット、施設の外観・内観、施設内の設備・個室・ラウンジ・食堂などの魅力を視覚的に伝える写真
- バリアフリー、感染症対策などの安全・衛生体制
- おいしくて、栄養バランスがあり、バラエティーに富んで飽きない食生活の提供
- 変化に富んだ施設生活が楽しめるサークル活動、リクリエーション、年間行事など
このコンテンツはユーザの入居意欲を刺激するポイントになります。
(3)施設の入居手続きや料金に関するコンテンツ
入居意欲が高まったユーザに、リアル感のある情報を提供します。
<費用>
入居意欲が高まったユーザが、一番気になる情報です。月額料金と入居費、施設管理費、食費、健康管理・介護支援サービス費、サークル活動費など、施設生活に必要な費用の内訳を詳しく説明します。これにより費用に関するユーザの納得感を得られるでしょう。
<入居契約に必要な書類の案内>
入居契約を締結する際は健康診断書、診療情報提供書、介護保険被保険者証、住民票、所得証明書などが必要になります。この案内をすることで、ユーザはどんな書類を用意すれば良いのかが、一目で分かります。
<施設の経営母体に関する情報>
施設の経営母体に関する情報は、それを明示することで施設経営の社会的責任の所在を明らかにすると同時に、当該施設の権威性と信頼性を担保する情報になります。ユーザにとっては施設選びの安心材料になります。経営母体の代表者プロフィール、事業内容、事業歴、実績などの情報が重要です。
このコンテンツは、ユーザが入居意思を固めるポイントになります。
Webサイトの認知度を高める方法
どれだけ優良なコンテンツを揃えたWebサイトを作っても、それだけでは宝の持ち腐れになってしまいます。介護施設のWebサイトはユーザの認知を得て初めて宝としての価値を発揮します。
ユーザの認知度を高めるために、まず重要なのが「SEO対策」です。
SEO対策(Search Engine OptimizationːGoogle検索エンジン最適化)とは、ユーザが介護施設を探すためのGoogleキーワード検索において、Google検索結果の1ページ目に自施設のWebサイトを表示させる対策のことです。自施設の認知度を高めるキーポイントになります。
ユーザが介護施設を探す時は、
- 介護施設+地域名
- 介護施設+施設のサービス+地域名
- 介護施設+費用+地域名
などのキーワードで探すのが通例です。したがって自施設のWebサイトのキーワードは、ユーザが真っ先に使うと思われるキーワードを設定するのが効果的です。
このSEO対策の他に、ユーザの認知度高める方法として次があります。
(1)介護施設情報ポータルサイトへの登録
介護施設情報ポータルサイトへ自施設の情報を登録することで、ユーザの目に留まる可能性が高まり、自施設のWebサイトのアクセスが見込めます。
(2)リスティング広告出稿
介護施設を探しているユーザが入力した検索キーワードに連動して検索結果の1ページ目に表示されるリスティング広告を出稿すると、ユーザの目に留まりやすくなります。
リスティング広告は、広告がクリックされた時にのみの課金なので、自施設のWebサイトの認知度を高める手段としてはコストパフォーマンスが良いと言えます。
まとめ
集客力の高い介護施設の前提は、地域に密着した中小施設ならではの地域特性を活かした独自性のある施設づくりと言えます。その実績に基づき作り上げた介護施設のWebサイトは、ユーザにとって有益なコンテンツを満載した優良サイトになります。
優良サイトはユーザの信頼感を高めると同時に、施設の社会的信用を高める基盤になります。それにより大手企業と互角に競争する土俵も形成できるでしょう。