バイラルマーケティングの本質と成功のポイントは何か?

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インターネットとSNSの普及に伴い様々なWebマーケティング手法が開発され、活用されています。その中でいま「バイラルマーケティング」が話題になっています。「バイラルマーケティングを活用すれば売上が伸びる」と、活用に踏み切る企業が増えているとも言われます。しかし結果はどうなのでしょうか。ここではバイラルマーケティングの本質と活用成功のポイントを解説します。

バイラルマーケティングとは

バイラルマーケティングとは、口コミを利用して「Viral(ウイルス)」のように人から人へ情報を伝達し、拡散させてゆくことで潜在見込み客を集客するマーケティング手法のことです。バイラルマーケティングは「良い情報を知ったら周りの人に教えたい」という人間の心理を利用した、口コミマーケティング手法の1つでもあります。
バイラルマーケティングを展開する場合は、ウイルス株のような「バイラルコンテンツ」が必要になります。伝達力の強いコンテンツを発信することで、それがSNSを始めとする様々な媒体で爆発的に拡散され、マーケティング効果を発揮します。

バイラルマーケティングの特徴

バイラルマーケティングは「周りに教えたくなるコンテンツ」作りに成功すれば、後は広告しなくてもコンテンツが拡散されてゆく特徴があります。したがって必要なコストはコンテンツ作りの初期コストだけ。安価なマーケティング手法と言えます。
他に次の特徴があります。

(1)広告臭がない

バイラルマーケティングは通常の広告のような「広告臭」がありません。それを見たユーザは「周りに教えたくなる」のでより深く興味が湧き、自分のコメントを添えて情報拡散をすることになります。その結果、広告に対する信頼感も得やすくなります。

(2)コントロールができない

バイラルマーケティングによって拡散される情報は、発信者の企業にとって都合の良い情報だけとは限りません。ネガティブな情報拡散で自社の信用が傷つくリスクや、予想を超えた反響で対応しきれない事態に陥るケースもあります。バイラルマーケティングを展開する場合は、リスクヘッジとして予想されるマイナス要素をことごとく排除したコンテンツ作りが何よりも重要です。

バイラルマーケティングの種類

バイラルマーケティングは、次の3タイプに分かれています。

一次的バイラルマーケティング

ユーザが「周りに教えたくコンテンツ」の拡散を目指すタイプです。
バイラルマーケティングの元祖的なタイプと言え、情報拡散のためのランニングコストは基本的に不要です。その代わりコンテンツが貧弱だと、見向きもされない可能性があります。

二次的バイラルマーケティング

期間限定のキャンペーン形式のコンテンツを発信し、それを拡散したユーザに特典を付与するタイプです。特典は自社商品の割引券、無料券、自社イベント招待券などが一般です。
「やってみなければ分からない」ところがある一次的バイラルマーケティングと比べ、ユーザが拡散してくれる確率は高まりますが、ある程度のランニングコストがかかります。またユーザが特典に魅力を感じなければ、拡散の確率も下がります。

紹介埋込み型バイラルマーケティング

ユーザがメールやアプリを利用すると、自動的にそのユーザの周りに情報が拡散する仕掛けを埋め込んだタイプです。多くのユーザが利用すると、それだけ情報拡散の範囲が広がります。このタイプもランニングコストはほとんどかかりませんが、やはり広告の中身(コンテンツ)が貧弱だと、拡散される側のユーザにスルーされる可能性があります。

他の口コミマーケティングとの違い

バイラルマーケティングは口コミマーケティングの一手法ですが、他のそれと本質的な違いがあります。

(1)ステルスマーケティングとの違い

ステルスマーケティングは、企業との密接な関係がありながら中立的な立場を装い、好意的な口コミを拡散して売上拡大を図るマーケティング手法です。
バイラルマーケティングとステルスマーケティングには次の違いがあります。

  • バイラルマーケティング……コンテンツを拡散するか否かはユーザ次第
  • ステルスマーケティング……企業の指示・管理の下にコンテンツを拡散する

ステルスマーケティングは企業の関与が発覚すると、売上減はもとより社会的信用を失墜するリスクがあります。

(2)バズマーケティングとの違い

バズマーケティングは、著名人に自社商品を使ってもらい、その使用体験を好意的にSNSに投稿してもらうことで、著名人のフォロワーにその投稿を拡散して売上拡大を図るマーケティング手法です。
バイラルマーケティングとバズマーケティングには次の違いがあります。

  • バイラルマーケティング……ユーザが拡散したくなるコンテンツが不可欠
  • バズマーケティング……商品を使ってもらった著名人の使用体験がコンテンツ

なお、バズマーケティングとインフルエンサーマーケティングは似ています。それはインフルエンサーマーケティングがバズマーケティングの具体的手法に位置付けられているからです。

バイラルマーケティングの問題点

バイラルマーケティングには①低予算で販売促進ができる、②今まで自社と接点のなかった潜在見込み客に自社商品の訴求ができるなどのメリットがあります。その反面、次の問題点が指摘されています。

(1)爆発的な反響による業績悪化リスク

バイラルマーケティングは口コミ情報の拡散力を利用したマーケティング手法なので、コンテンツによっては爆発的な反響を呼ぶケースがあります。 このこと自体は企業にとって大変喜ばしいことです。しかし一方で、その一時的な爆発的反響の対応処理に多額のコストが発生するケースがあります。その結果、運転資金不足、在庫不足による販売機会の逸失などで業績悪化を招くリスクもあります。

(2)自社の趣旨とは真逆の情報が拡散するリスク

バイラルマーケティングは発信者がコントロールできない口コミに頼る情報拡散なので、拡散の過程でユーザの主観的な解釈や認識が次々と加味されてゆきます。その結果、自社の趣旨とは真逆の情報やフェィク情報が拡散されるリスクがあります。

バイラルマーケティング成功のポイント

バイラルマーケティングに成功するポイントは、ユーザの主観が入りにくいコンテンツの拡散とリスクヘッジに尽きると言えます。具体的には次のポイントが挙げられます。

(1)アハ・モーメントがある商材を情報拡散の対象にする

バイラルマーケティングにおいては、対象商品を慎重に選ぶ必要があります。「どんな商品でも」の考え方だと、拡散過程でユーザのネガティブ評価や冷やかしが入り込み、逆効果になるリスクがあるからです。
バイラルマーケティングに適した商品は「アハ・モーメントがある商材」と言われています。アハモーメントとは、ユーザが商品の価値や有用性に喜びや共感を覚える瞬間のことです。喜びや共感を覚えるからこそ、ユーザは「周りに教えたくなり」、ネガティブな評価や冷やかしのないコメントを添えて情報拡散をしてくれます。

(2)琴線に触れるメッセージ性がある

自社商品を広告、記事、SNS投稿など様々な媒体で様々なタイミングで潜在見込み客に訴求しても、ユーザの琴線に触れるメッセージ性がなければ見向きもされません。
それはバイラルマーケティングにおいても同じです。ユーザの琴線に触れる商品のメッセージ性とは、前述のアハモーメントがある、ユーザの欲求やニーズに応えられる、商品の特徴が簡潔に述べられ一読で頭に浸み込むなどのメッセージです。

(3)炎上・トラブル要因を排除したコンテンツを拡散する

自社商品に対するネガティブ情報、フェィク情報の拡散による炎上やトラブル発生を防ぐため、コンテンツ作りにおいては入念なシミュレーションを行い、ネガティブ情報やフェィク情報が入り込む要因を探し出し、それを排除しておく必要があります。

まとめ

バイラルマーケティングは他のマーケティング手法と比べ、低予算で見込み客集客ができるので、企業にとっては非常に魅力的な手法と言えます。しかし企業側でコントロールできない口コミ手法なので、不測事態が発生する可能性のある事実を忘れてはならないでしょう。
ユーザの琴線に触れる魅力的なコンテンツ作りに努めると同時に、不測事態が発生した場合、迅速に善後策を講じられるリスクマネジメントが重要と言えます。